|
平穏な一日は今日も流れている…。 罪人は一回の狩りで300人は狩りしてるというのに一向に数が減らない…。 世界中の人口の中で300人毎日減っているというのに未だに罪人が増え続ける…どういうことだろうか。
そんなことを考えながら私は自宅のソファーでうとうとしていたが…星夜によってたたき起こされることになった。
星夜:「闇鈴さん!来客です!起きてください!!」 闇鈴:「はぅ?」 ルーティア:「なっさけない顔ね…」 闇鈴:「あれ…ルーティアが居る…夢の続きかな…おやすみ…ZZZZzzz…」 ルーティア&星夜:「起きなさいと言っているでしょ!!!」 闇鈴:「はにゃ!!!」
2人の大声でバランスを崩しソファーから落ちる私。 顔面から落ちて涙目になっていたがルーティアは見下ろしてニヤニヤしていた。
ルーティア:「あなたに頼みごとがあるのよね」 闇鈴:「それが依頼者の態度?」 ルーティア:「えぇ!あんたにはこの態度で十分よ!」 闇鈴:「星夜…ルーティアはお帰りのご様子です…玄関まで案内してとっとと出て行くように言ってちょうだい…」 星夜:「いいんですか?」 闇鈴:「私が許す!」 ルーティア:「えっ!ちょ!待ってよ!!話ぐらい聞いてよ!!」 闇鈴:「4文字以内に用件を伝えてくれたらいいわ」 ルーティア:「たすけて」
必死の形相で私の裾を掴むルーティア。 やれやれ…しょうがない
ルーティア:「実は…私のほうに罪人が居るんだけど手が出せないのよ…特殊な結界で守られているのよ!。 だから助けて!」 闇鈴:「だが断る!」 星夜:「断っていいの?」 闇鈴:「その程度のこともできないんじゃあ話にならないわ」 ルーティア:「特殊なんだって!!どんな魔法も物体も通さないのよ!」
絶対不可侵領域か…。
闇鈴:「そんなの展開されるまで放置したあなたが悪いわ…」 星夜:「そんな言い方無いんじゃないの?」 闇鈴:「その結界を展開するのに軽く三ヶ月はかかるのよ…。 しかも展開するまでは無防備になるし探知しやすい…そんなのを未然に防げないのはあなたのミスね」 ルーティア:「…」 星夜:「黙ったということは事実なんですね…」
黙って下を向き涙を流すルーティア。 心を読むまでも無く自身の無力さを思い知っているようです。
闇鈴:「しょうがないわね…貸し1つ・・・いえ2つよ。全く…私は自分の甘さを悔やむわ…」
それを聞きルーティアは笑顔となった。 早速その結界を破る方法をいくつかルーティアに言ってみる。
闇鈴:「破るための一つ目の方法は不可侵領域と中和できる程度の結界をぶつけて消滅させる方法ね…。 ただしこれには消す対象の結界と同程度の結界が必要になるから長時間そこに付きっきりになるわ」 星夜:「それでは罪人が世界中に増えてしまうんですね…」 ルーティア:「ほかは?」 闇鈴:「次は結界を使っている罪人が死ねば消えるから寿命まで待つということかな…」 ルーティア:「却下…次は?」 闇鈴:「最後は…その対象の罪人を見入らせる程の何かアクションをすることね…。 見入ることで結界へ注がれる力が無くなり消えるわ。 ただし、結界を張っている罪人は一人ではないわ…気取られたら終わりよ?」 ルーティア:「それで行きましょう!」 星夜:「私に考えがあるわ…でもこういう人が欲しいわ」 闇鈴:「心が強くて、巨大化に慣れていてしっかり者で着物が似合いそうな女の人…?」 星夜:「ルシアさんは別の役割があるから…出来れば別の子をお願いしたいです」 ルーティア:「私は結界が消えたタイミングで狩りに飛び出すからダメね」 闇鈴:「心当たりはあるけど…引き受けてくれるか微妙ね…星夜、同行してくれない?」
・ ・ ・
私は夢の世界で悠夢がその人を飛ばしてくるのを待った。 しばらくするとその人がやってきた…というより連れてこられた。
みーな:「っん…すぅ…すぅ…」 闇鈴:「この子なんだけど…どう?」 星夜:「うん…ほど良い胸で着物にはぴったりみたいね。ちょっと髪がピンクってことを除けば理想ね…」 闇鈴:「そのピンクが舞台を華やかにしてくれるわよ」 星夜:「そうね…私の黒い髪と相性はよさそうね」
そうこう言っているうちにみーなが目覚めた。
みーな:「むにゃむにゃ…うーん…」 闇鈴:「おはよう…」 みーな:「あっ…闇鈴さん!それと…誰ですか?」 星夜:「始めまして…私は天宮 星夜と申します」 闇鈴:「ルシアの姑で悠夢の実母であり私の助死神…助手みたいなもんです」
それから事情を説明しみーなに協力を依頼すると…。
みーな:「…こんな私でよければお手伝いします!!」
みーなの心には強い決意が垣間見たので安心して依頼することにした。
星夜:「ではここは後は任せて闇鈴さんは…」 闇鈴:「うん…私は私のパートをするわ」
・ ・ ・
(星夜視線)
まずはお着替えね…。
星夜:「みーなさん…でしたね。まずはこれ着替えてください」
私は衣装の巫女服を渡した。
みーな:「これ着て…踊るの?」 星夜:「正確には巫女舞だから興じるというのが正しいわ」
着替えが終わり巫女服の私とみーなが都会のど真ん中で100mになっていた。 本番も街を壊しながら舞うので練習としてここでやっておくのが大切だと判断したからです。 まずは舞をあわせることから始めることにしました。 楽器パートは…。 琴=闇鈴さん。 笛=悠夢。 和太鼓=ルシアさん。 ということで決まりました。 今は個々練習(ルシアさんには後日教えて練習してもらうことにします)
星夜:「では悠夢…お願いね」 悠夢:「久しぶりの笛だな〜母さんが舞うのにあわせて演奏してたガキのころが懐かしいぜ」 楽器三種:「♪〜♪…♪〜♪♪〜…」
太鼓と琴は別個で人形に代用してもらい特訓が始まった。 まずは私がお手本を見せることにしました…。 足を一歩前に出す。 この時点でも結構な被害が発生している。 さらにそこから一回しつつ横へずれる。 ビルに腰が食い込むもののそのまま回転にあわせて瓦礫を巻き上げつつ崩壊する。 そこで扇子を広げ口元を隠しながら一歩下がる。 かかとが後方のデパートにぶつかり大きな穴を開けた。 私の舞いをみーなさんは食い入るように見ていた。 そして10分の演舞が終わることには半径200mの全ての建造物が瓦礫となっていた。
星夜:「こんな感じよ…やってみましょう」 みーな:「はっ!はい!」
動きはカクカクで歩道橋で躓いてビルに倒れこんで全壊させたり少し踊りを間違えることがあるがそこも含めて可愛い…。 闇鈴さんの人選に間違いは無いですね…。
みーな:「あぅ…扇子がビルに引っかかっちゃった…えいっ!!」
引き抜いた反動で背中からビルに倒れこむ…。 ドゴォォォンと轟音が響く。
みーな:「いたた…」 星夜:「ビルは斜めに切るようにするとスパッといけるわ」
次の転倒はその次の拍子だった。 本来なら一歩後ろに下がるだけの動きだったのだが…。 そこで車を踏んでしまい後ろへ転倒してしまった。 ぺちゃんこした車数台をさらにぺちゃんこにし両肩はビルを抉った。 さらにドシィィィンと音を立てて地面をめり込ませた。
みーな:「うきゅ…」 星夜:「まだまだいけますか?…さぁ頑張りましょう…」
私は手を差し伸べてみーなさんを立ち上がらせる。 みーなさんの闘志の炎は未だに消えていなかった。 次々と転倒と破壊…そして復元を続けること4時間…。 なんとかソロでの舞いはこなせるようになっていた。 その後は動き合わせに入ることになったが…。
星夜:「遅いわ!もっと早く!」 みーな:「はい!」
ポディションを取り間違えたのか私の回転時に裾がみーなさんに当たり吹っ飛ぶみーなさん。 ドゴォォォドゴォォォォドゴォォォガシャァァァンという轟音が響いた。 紅白の巫女服を着たみーなさんがビルを3棟ほど貫通し倒壊させていく。 4棟目のビルに半分ほどめり込んでぐったりしていた。 裾があたっただけなのに…こんなに吹っ飛ぶなんて…。
星夜:「だっ…大丈夫?」 みーな:「へ…平気です…」
そんなこんなのトラブルがあったものの3時間ほどでしっかりと動きがシンクロしてくれた。
星夜:「うん!完璧よ!筋がいいわね…一日で物にするなんて!」 みーな:「私にも…出来たんですね…」 星夜:「自信持って本番へ行きましょうね!」
私たちはさらに練習という名目の街の破壊を続けた…。
・ ・ ・ (闇鈴視線へ) 私は夢の世界から退出した後イメージを固めて琴を具現化させた。 そして夢の世界で星夜に渡された譜面を引き始めた。
琴:「♪〜〜♪〜♪♪〜〜♪〜♪…」 闇鈴:「100年も触ってないからなかなか感覚が取り戻せないけど…この分なら徹夜でやれば感覚を取り戻せるわ…」
眠っているルシアたちをよそにひたすら演奏を続けた。 ルシアを除く私、星夜、悠夢…そしてゲストのみーなも頑張って2日後の本番へ向けて練習を続けた。 なんでみーなが短期間で舞いをマスターできたかって?。 人って睡眠学習というものが出来るからそれに関係するのよ。 英語を寝ながら聞いて朝起きたら大体頭に残っている…それと同じことよ。 ただ…実際に体を動かしている分こっちのほうが覚えるのは早いでしょうけど。 琴の動きをマスターしたときには夜が明けていた…。 眠いしそろそろ寝よう…。 その日の夜。 ルシアにも話をしたところ道場で和太鼓を扱っていたので大体の扱い方が分かるらしい。 なので実際にみんなで集まり演奏をしてみることにした。 3時間ほど頑張ったところで大体の演奏が出来ることがわかったのも理由の一つでもあります。
みーなと星夜が交差点のど真ん中に立ち私たちはその後方にしゃがんで楽器を構えた。 悠夢はサイズの違いがあるため上空から笛を奏でることにした。
闇鈴:「準備はいい?」 みーな&ルシア&星夜「大丈夫!」
演奏が始まった。 楽器の音色は大きくなったが品質保存(大きくなっても通常サイズと同じ質の音が出る処理)をしているので問題なく演奏は続いた。 みーなも上手くビルを足でなぎ倒し横倒しになっているビルを草履で踏み壊し舞を舞った。 星夜は…さすがというかなんてというかビルを壊すことを前提として舞を舞っているため吹き荒れるガラスがプリズムのように光を反射し煌びやかに演出している。 プロはさすがに違うわね…。 破壊音と楽器の音色とみーなと星夜の息遣いがわずかに街を包み込む…。 これなら本番いけるわね…。
・ ・ ・
本番当日。 その結界から500mは離れた位置で通常サイズで待機する私たち。 既に悠夢は上空で笛を持って待機している。 通常サイズではあるがあの笛にも私たちと同等の音色が奏でられるようにしました。 本番まで時間があるので先ほど触れた「品質保存」について簡単に説明します。 元々は死神の中で楽器を演奏する者も居たが通常サイズで演奏していていた。 しかしそれでは少ない範囲までしか楽しめない…それを改善するために楽器も巨大化させる方法ができた。 しかしただ巨大化させるだけでは楽器自体が脆くなり音色も悪くなる。 そこでその死神は楽器に死神としての魔力を帯びる処理を施した。 そういう歴史もあるんです。 そうこう言っているうちに本番が始まる…。
19:00に時計が合った瞬間4人は所定の位置で巨大化した。 夕焼けに染まった街に4人の巨人が踏みしめていた。 結界が強まったのを確認したが無視する。 演舞が始まりみーなと星夜が一歩前へ歩く。 2人同時に腰にも満たない雑居ビルを踏み壊した。 もうみーなも星夜も建物のことは気にしてない…というより演舞に集中している。 一応誰も居ない町であれば彼女も安心して舞えると思い事前に避難勧告していたのが幸いした。 瓦礫を踏みつけ歩道橋を蹴散らしただの破壊行為のはずなのに巫女舞ということを見ていると足元の惨事など全然気にしなくなってくる…。 ふと流し目で700mほど離れている学校に目を向けるとたくさんの一般人がカメラで撮影している…。
闇鈴(テレパシー):(あんたの世界の住民はどうなっているのよ!全然逃げないじゃない!) ルーティア(テレパシー):(知らないわよ!あんたがなんか洗脳しているんじゃないの!!) 闇鈴(テレパシー):(あぁ!!もういいわよ!撮りたきゃ撮ればいいわよ!!)
心の中で逆切れした私は琴に集中している。 私は自分の翼を展開し白と黒の羽を舞台にばら撒いた。 羽が夕焼けの黒い羽が光を吸い白い羽がみーなたちの周りで光り輝いている。 幻想的な巫女舞は10分続きそれが終わる頃には周りの建物はあらかた瓦礫を通り越して砂と化していた。
結界はとっくに解けておりルーティアが100mサイズで罪人のアジトを踏み潰して本日の狩りは終わった。 歓声が学校だけでなく周りから響き渡る。 この世界の1/3の人が来たんじゃないか?と思えるぐらいの人数の多さで緊張したみーなはヘナヘナという効果音がつくような形で座り込んでしまった。
星夜:「ほら!立ちなさい!舞姫は最後まで歓声にこたえなきゃ!」 みーな:「舞…姫…私が?」 星夜:「えぇ!完璧な舞だったわ!誇りを持ってもいいわ」 みーな:「私が…舞姫…!」
星夜が手を差し伸べ握り締めるみーな。 立ち上がり人がたくさんいる方向に手を振るみーな。 その表情はどこか嬉しそう。 しばらくすると「アンコール!アンコール!!」という声が響いた。 へろへろのみーなだが心はまだやれると思っているが体が疲れ切っている・・・。
みーな:「みんな…私もう一度踊りたいです…」 闇鈴:「私たち死神とおまけだから問題ないけど…あなたの体はボロボロじゃない…」 悠夢:「おまけって言うなーーー!」 闇鈴:「ならおまけとして笛吹くだけでなくみーなに体力を分け与えなさい!」
半ば強引に悠夢の体力をみーなに移して完全復活した。
みーな:「では皆さん!ゆっくり見ていってください…」
こうして私たちの演舞は深夜の2時まで続いた。 真っ暗になったときはその世界の住人がヘリや地上からライトを使いその中での演舞していた。 私の羽もさらに輝きを増し幻想的な演舞はこうして続いていった…。
・ ・ ・ 翌日…。 みーなは元の世界に戻りじゅんこたちに舞を見せて喜ばしているのだろう…。 星夜とルシア、悠夢…そして私は趣味で巫女舞の研究をしている。 それから暇さえあれば私たちは集まり各世界で演舞をすることが多くなり舞姫:みーなの名前は死神界に広まったのは言うまでもない。
続く
|