リュティア: 食人侵略者 Ryutia: Cannibal Invader

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宇宙の彼方からやってきた巨大な侵略者。
それは、突然の襲来だった。

しかし、空を埋め尽くす巨大な UFO 艦隊が押し寄せてきた訳ではない。
圧倒的な火力兵力の電撃戦を仕掛けられた訳でもない。

僅か一機の UFO から降り立ったのは、
巨大とはいえ、身長 16m ほどの美少女が…ひとり、
たったそれだけ、だった。

しかし、この「たったそれだけ」に、地球の戦力、人類の叡智は全く歯が立たなかった。
彼女は不思議な力で、地球側の全戦力を瞬時に無力化してしまった。
戦闘機、戦車、あらゆるエンジンが動かなくなり、小銃の一発すらも発射できなくなっていた。

「こうなりゃ白兵戦だ!」
「あれしきの巨人、毒ガス弾! いや、ナイフでも投げれば効くに違いない!」

命令を受けた血気盛んな特殊部隊が、突撃を試みた。
しかし、彼女の百メートルほど手前で、彼らは「見えない壁」に弾き返された。
ナイフを突き立てても跳ね返され、彼女の周囲をすっぽりと、上から、地面の下まで包み込んでいた、壁に。

全く手出しができなかった。
強力なレーザー光で、それが無理ならサーチライトでも浴びせてひるませる案も浮上したが、
「壁」の向こうには全く有効な影響が与えられなかった。

結局、残酷なほど透明な壁のこちら側で、
地球人は遠巻きに彼女のすることを、ただ見ていることしかできなかったのだ。
いや、途中からはまともに見ていることなど、できなかった。

それは、あまりにも残酷な「狩り」だったのだ…。



もちろん、地球側もいきなり斯様な攻撃をかけるほど野蛮ではなかった。
最初は「彼女」の出方を伺っていたのだ。

しかし、淡い期待とは裏腹に、彼女は全く友好的ではなかった。
彼女は次々と地球人を踏み潰し、指先から強力なビームを放って街を破壊し始めた。
薄笑いを浮かべ、余裕たっぷりに、挨拶代わりといった感じで…。



そして今、彼女の周囲に張り巡らされたバリアの内側、
彼女の「狩場」の中には、彼女自身のほかに、獲物となる少年と少女が取り残されていた。
余計な物は全部、壁の外に排除されていた。



侵略者リュティアは、狩場の準備に満足していた。
自分たちから見れば軽く 1000 年は遅れた、しかも呆れるほどちっぽけなコビト族。
もっとも、いくら劣等種族とは言えど、それを狩りの対象にすることは、
リュティアたちの道徳でも、あまり褒められたこととは言えなかった。

しかし、悪いことほど愉快であることは少なくない。
結局のところ、宇宙の各地で、リュティアたち優等種族が劣等種族を「狩る」ことは広く行われていた。



お膳立ては、もう十分だろう。
この若いコビトたちが「ツガイ」であることは、情報を分析するまでもなく察知できた。
そして、劣等種族のくせに、なかなか整った肢体。
上物。
獲物は美しい方が良い。

これは「狩り」の対象としては最高に面白くなりそうだった。
さあ、始めようかしら…。



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「あらあら? ずいぶん勇気がある彼氏さんね。」

リュティアは劣等種族たちの言葉を使って話しかけてやる。
単純過ぎる言語だから学習など不要、一度聞けば十分に使いこなせる。
彼らの反応を見ると、予想通り、十分に通じているようだ。
リュティアはクスリと笑った。

一方、そびえ立つ巨人リュティアを目の前にして、「誠」は精一杯の勇気を見せていた。
手を横に広げ、自分の彼女「鈴」に手出しをさせまいと…。

「い、いやあ…っ! に、逃げ…!」

鈴は叫び声をあげるが、腰に力が入らず、誠の足にすがりつくだけであった。
しかし、その誠の足もガクガクと大きく震えていた。

彼は動かない。
いや、動けない。
リュティアの顔も見られず、鈴に振り返ることもできず、
こわばったまま、わざと明るく、しかしうわずった声で返すのが精一杯だった。

「う…、こ、これ、無理…、に、逃げられないよ…。」

うふふふふ。
怖がってる…怖がってる…。
コイツらから見ると、自分はそびえ立つ巨人なのよね…。
リュティアは、足元で怯えながら自分を見上げるコビトに嗜虐心を昂ぶらせていた。



しかし、動きがない。
ただ見合っているだけでは面白くなくなってきた。

リュティアはゆっくりとつま先を上げ、彼らの目の前でトントンと地面を叩いてやる。



ゴォン!! ゴォォゥン!!

巨人の足踏み。
ゆっくりとした動きだが、凄まじい重々しさ、衝撃。
もし、あの足下に入ったら…。

誠はへなへなと鈴の上にへたり込む。

「きゃー」

折り重なって藻掻く誠と鈴。



「あっははは。ブザマね! かっこわるぅーい!」

リュティアの嘲笑が容赦なく降り注いだ。

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圧倒的過ぎる巨人に威され、嘲られ、
折れそうになった気力。

しかし、彼女の前で弱きを見せる訳には行かなかった。
誠は再び立ち上がり、リュティアに対し毅然とした態度を示そうとした。

しかし、二人が如何に毅然としようとも、
リュティアに対しては何の意味も持たなかった。
むしろ、巨大な自分に楯突こうとする誠に対して、
リュティアはこみあげてくるおかしさを隠すことができなかった。

「くす…」

リュティアはぐっと腰を落とし、二人の上に覆い被さるようにしゃがみ込んだ。
そして、二人の直上でグローブに包まれた両手をくわっと広げ、
そのまま鷲掴みにしようとしたが、

「あ、逃げても、いいよ?」

侮蔑したように余裕たっぷりで台詞を投げつけるリュティア。
そう言いつつも、二人の目の前で、彼らから見れば巨大な手のひらを広げ、
大蛇のような指をくねらせてやる。

二人はじりじりと後ずさりするが、まともに動くことはできない。
鈴は誠をぎゅっと抱きしめ、誠もしっかりと鈴を抱きかかえた。

「逃げないのね…。それとも、逃げられない、のかなあ?
まあ、いいわ。」


リュティアは無造作に、あっけなく二人を掴み取り、
訳もなく恋人達を引きはがした。
左手で誠を、右手で鈴を。

大蛇のような指に締め上げられながらも、
懸命にお互いに向かって手を伸ばす鈴と誠。

二人の手が届きそうになっているのを見つけると、
リュティアは顔をしかめ、乱暴に誠を持ち上げた。

「だーめ。もうイチャイチャはおしまい。」

そして、これ以降、
生きている間には二人は決して手が届くことがなかったのだ。

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「ねぇ。あなたの彼氏、カッコイイね…」

突然の台詞に驚く鈴。
巨人の手のひらに乗せられたまま、小さくコクリと頷いた。

「うんうん。だから、彼氏の方から食べてあげるね。」

言うが早いか、あーんと巨大な口を開け、鷲掴みにした誠を頭から喰おうとする!

「うわあっ!」
「きゃあああ!!!」

誠は手足をバタつかせて暴れ、鈴は金切り声を上げた。

しかし、リュティアが指の力を僅かに強めるだけで、締め上げられた誠の抵抗は急速に弱まり、
手のひらに乗せられた鈴はビルの4階ほどの高さにあって、
彼氏に駆け寄ることすらもできなかった。

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「はむっ」

誠を肩口のところで咥えたリュティア。
引きずり込まれまいと、口の外にはみ出した左手で必死に体を押し戻そうとするが、
リュティアのパワーの前には全く効果がなかった。

口内では、巨大な歯が、今にも誠の首を噛み切りそうに上下から挟み込み、
強制的に横向きにさせられた顔面を、巨大な舌がチロチロと舐めていた。

恐怖に駆られた誠の悲鳴が、リュティアの口内からくぐもって聞こえてくる。

鈴は誠の名を叫び、懸命に手を伸ばすが、
リュティアは小指で難なく鈴の頭を押さえつけ、抵抗を封じてしまった。
そして、誠を咥えたまま、鈴に嘲るような視線を送った。

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熱い口内に閉じこめられた誠は、酸欠状態になって急速に暴れる力が弱くなっていった。
すると、リュティアは「ちゅぱっ」と音を立てて誠を口内から解放したかと思うと、
瞬時にくるっと反対を向け、今度は足から首まで一気に誠をくわえ込んでしまった。

口内でばたつく誠の足が、リュティアの舌を蹴った。
リュティアは制裁とばかりに舌を持ち上げて誠の下半身を硬口蓋に押しつけ、
そのままギュッと押さえつけてやった。

リュティアの唇に右腕を突っ張り、必死に抜け出ようとする誠。
既に恐怖の余り声もでず、顔面蒼白になっていた。
しかし、リュティアはじりじりと、より深く誠を咥え込んでいった。

そして、薬指と小指で首を挟まれながらも精一杯伸ばされた鈴の腕が届きそうになった瞬間、

「ちゅぽんっ」

誠は、一瞬にして、リュティアの口内に消えてしまった。

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「……! ………!!」

リュティアの口内から、再び誠の声が聞こえてきた。
しかし、分厚い肉壁の向こう側からの声はくぐもり、何を叫んでいるかを聞き取ることはできなかった。
でも、真っ暗な、熱く、ぬるぬるとしたリュティアの口内に閉じこめられた誠が、
巨大な前歯の裏側を叩きながら、泣き叫んでいることは容易に想像できた。

リュティアは、鈴を押さえつけていた指の力を緩め、手のひらを口の前に持っていった。

「誠! ねぇ誠! ねぇ、聞こえる…?」

鈴は必死に彼の名を呼び、
その華奢な腕に精一杯の力を込め、リュティアの唇をこじ開けようとした。
しかし、リュティアから見ればフィギュアのようなサイズの鈴の、その細腕では、
固く閉じられたリュティアの巨大な唇をめくり上げることすら叶わなかった。

リュティアの唇の内側と外側、
20cm もの分厚い肉壁と切断機のような前歯を挟んで、あちら側とこちら側に引き裂かれた二人…。

「お願い! ここ空けて! 口を開けてぇ!」

リュティアの唇を叩き、泣きながら懇願する鈴。
そんな鈴を、リュティアは涼しげな、嘲りを込めた表情で見下ろしていたが…、



ゴリッ!

ゴリゴリッ!


リュティアの顎が動いた瞬間、
口内から
何か
潰れながら砕ける、鈍い音…。


リュティアの唇を叩き続けていた鈴は、
一瞬手を止め、
何が起きたか分からず、

でも、

次の瞬間に、
いや、

え、

そんなこと、


「いやあああああああああああああああっ!!」


鈴の絶叫にうるさそうに片目を閉じるリュティア。
しかし、構わず咀嚼を続ける。

彼女の目の前で、音を立てて彼氏を噛み砕く。
首を前歯で切断し、
全身をぶつ切りにしていき、
自然な動きで奥歯へ運んでいき、潰していく…。


鈴は半狂乱になって分厚いリュティアの唇を目茶苦茶に殴りつけ、
彼の名を呼び続けていた。

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「そんなに言うなら、返してあげるわ。」

リュティアはそう言うと、「ぷっ」と、梅干しの種のように、
何かを鈴の乗った手のひらに吐き出した。

ゴロリと転がったそれは…
誠の頭部。

一瞬の間。
それが何か分かった刹那、
鈴はすぅっとへたりこみ、

そして、
何か訳の分からないことを叫びかけて、
誠の首を押しやりかけて、やっぱり抱きしめようとして、
誠の首を見るような、見ないような…
でも、やっぱり見ないように顔を覆った。

あまりにも衝撃的な目の前の出来事に、鈴の心は完全に砕け散り、
最初は小さな声で、そして、大きな声で壊れたように泣き始めた。
誠の生首を、太股の間に抱えながら…。

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しばらく発狂寸前の鈴の慟哭を聞いていたリュティアは、
左手で鈴をつまみあげると、
その左足をくわえ、
器用に少しずつ口内へと運んでいった。

誠とは違う少女のやわらかい肉体を楽しむように、
舌で嘗めまわし、
唇で感触を味わい、
軽く歯を突き立てて甘噛みする。

鈴は腕をリュティアの指に絡ませ、必死の抵抗をするが、
ふとももを咥えたまま、リュティアは首を振り、
鬱陶しそうに鈴の腕を引きはがした。

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十分楽しんだところで、
リュティアは巨大な前歯で鈴の腰の辺りを一気に切断した。

ビクンと跳ね上がり、一声悲しげに叫んだ鈴の声は、
すぐ弱々しくなり、生気を失ってだらりと力なくぶら下がる。

リュティアは反応がなくなってしまった鈴をつまらなそうに咥えなおし、
上半身も下半身も、
ふともも、腰、胸とザクリザクリと切断し、
十分に咀嚼してから呑み込んでやった。

誠と鈴は肉片と化して、
リュティアの巨大な胃の中で再び出会った。
そして強力な胃酸に溶かされ、
リュティアの一部になるべく消化されていった。

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頭部だけになった鈴をまた手のひらに「プッ」と吐き出すリュティア。

頭というのは固くて骨ばかりで、
はっきり言って美味しくないのだ。

指で二人の首をつまみあげると、リュティアはそれを使って遊び始める。
唇を押しつけて、生首同士に「キス」をさせる。

生きていたとき、恥ずかしがり屋だった二人が、
誠も鈴も、何度も決心しながら、結局できなかった「キス」を。



やがて、遊びに飽きたリュティアは首を捨て、ゆっくりと立ち上がる。
鈍い音を立てて数メートルの高さから地上に墜ちたそれを、
汚いものを見るようにリュティアは見下ろし、
巨大なブーツで踏み潰した。

弾けて飛び散ったものを、
足を引きずって踏みにじり、
薄汚れた道路のシミに変えてしまう。

「ふふふ、君たち、この世から無くなっちゃったね。
うふふ、でも、だいじょうぶ。
キミたちは、ずっとリュティアの中に生き続けてるよ。
ずっと一緒だよ。」


リュティアはお腹のあたりをさする。

「そうだ。キミたちの思い出も消してあげるね!」

リュティアはぐっと体に力を込めた。
その瞬間、リュティアはぐぐっと、そしてどんどん加速度的に巨大化していった。
自分の作った半径 100m のバリアを突き破って…。

そして、
誠と鈴の生まれ育った街は、あっという間に踏みにじられ、
そこに何があったのか分からないほど、
跡形もなく消し去られていった。




リュティアの侵略は、始まったばかりだ…。

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