猫愛好家 さん: じゅんこと龍の姫様

小人の街に巨大な女性が現れた。
名前はじゅんこ、彼女は最近よく街に現れては暴れて壊滅させて満足したら去っていく。
その街も壊滅は秒読みだったがいつものとそれは違っていた。

じゅんこ「今日は手始めにここで小人たちをいじめちゃおう」
???「遊ぶの?」

突然じゅんこには聞き慣れない少女の声が聞こえてきた。
振り返ると少しじゅんこよりも少し小さい蒼い髪の10歳ほどの幼い子が車数台を踏み潰して立っている。
見慣れない子だが可愛い子だから遊んでやってもいいかなと…とじゅんこは思った。
幼少の頃の妹的キャラのみーなぐらいにしかそんな感情はなかったんだがたまにはいいかな…と思った。

じゅんこ「何して遊ぶ?」
???「お馬さんー!!」

じゅんこは喜んで四つんばいになった。
もちろん今の彼女が四つんばいになることで多くの小人や建物が潰されていった…。
少女がじゅんこの背中に飛び乗りじゅんこの足がアスファルトを砕いて動き出した。

???「すごーい♪人間の町を壊して進む最強のお馬さーん♪」
じゅんこ「あはは…ところで名前を聞いてなかったわね、私はじゅんこよ」

少女も嬉しそうに名前を教えた。

???「あたしはアールイって言うの♪よろしくねお姉ちゃん♪」

おばさんやババァと言われると激怒し暴れまわるが面と向かってしかも純粋に「お姉ちゃん」と呼ばれてじゅんこの顔に少し笑みがこぼれる。
じゅんことアールイは住宅地を蹴散らしながら進む。
小人にとっては最悪の事態だった。
普通に歩いているのなら踏まれ損ねれば助かる可能性は高かった。
しかし今回はお馬さんを組んでいるため地面を抉りながら進む。
つまり逃げることが出来ず手か足で潰されるのを待つしかない…。
青いジーパンが次々と3mはある住宅を巻き込み人も車も木も巻き込み破壊していく…。
そして突然降ってくる住宅3件分の手によって訳も分からず潰されていく人間も居た……。
仮に逃げ切れても今度は小人にとって2車線道路に匹敵する幅のアールイのつま先によってすり潰される…。
そんな地獄の光景と打って変わってアールイは「お馬さんぱかぱか♪」と陽気に歌っている。
なんだかじゅんこも笑顔だった。
結婚もしてないもののこれぐらいの子供が突然出来た感じで母性本能が湧き出てきたのだろうか?
沢山の住宅を蹴散らしていくうちに目の前に橋が見えてきた。
人間としてはとても高い位置にある鉄橋もちょうどじゅんこの目の高さにある程度のものだった。
電車も通っていたがそれを無視してお馬さんを続けた。
やわらかいはずの鼻ががりがりと線路を削り頬も突っ込みメガネが鉄塔を次々と折り数秒で寸断された。
下から見た人間たちはじゅんこの鼻の穴と唇しか見えないまま手によって潰されるか鼻息か吐息で吹き飛ぶしかなかった。
肩まで突入して潰されずに済んだ人間は完全にじゅんこをよけたと思っていた。
しかし人間たちは肝心なことを忘れていた。
次に鉄橋を壊し始めたのはアールイの足だった。
しかもバタバタしていたため多くの柱や橋そのものを破壊され生き残った人間が下敷きになった。
通り過ぎたときにアールイの手には電車が握られていた。
中には多数の人間があたふたしていた。

アールイ「これ半分あげる♪」

8両編成の電車をちぎり4両をアールイがもぐもぐしている。
じゅんこが両手を使えないことを思い出したアールイは指を入れてぱりぱりと屋根を破ってじゅんこの口元に運んだ。
息を一気に吸い込んだじゅんこの口には沢山の人間とその荷物が吸い込まれていった……。

アールイ「お姉ちゃん上手〜♪」

じゅんこも悪い気がしないのか機嫌がいい。
そんなアールイはもぐもぐと電車ごと食べ終わると辺りを見渡す。
この鉄橋がちょうど住宅地とオフィス街の境目だったらしくたくさんの高層ビルが広がっていた…。

アールイ「ねぇねぇ!あそこで遊ぼうよ!!」

じゅんこもたくさん暴れたいと思っていたのかハイハイのままオフィス街へ移動をはじめた。


じゅんこ「それにしてもお母さんとかは居ないの?」

もしかしたら突然この子だけ巨大化してしまったのではないかと考えて質問をするじゅんこだが答えは予想外だった。

アールイ「んーとね…ママはどっちもあたしより大きいよ♪」

アールイのこの言葉はただ親達が大きいという意味にとらえることができる。
しかしじゅんこは違和感を感じた。
「どっちも」という言葉だ。

じゅんこ「離婚したことあるの?」
アールイ「リコン?なにそれ?」

どうやらそうではないようだ。
どっちも母親となるとどうやってこの子は産まれたのか?
じゅんこは疑問に思ったが深くは聞かないでおいた。
オフィス街に出てもじゅんこたちの体は道路から大きくはみ出ており隣接しているビルはガラガラと崩れてしまった。
そのときにアールイは降りた…。
アールイの足が破壊を免れたビルを壊している。
ほのぼのとしていた表情から凛とした表情に変わり臨戦態勢になるアールイ。

アールイ「お姉ちゃん逃げて……」
じゅんこ「えっ…?」

そうアールイがじゅんこの背中から降りると同時に闇が集まって目の前に巨大な女の悪魔が現れた。

サキュバス…女の形をした魔物で性を吸い取ったり幻影を見せて襲うことが多い。
そのサイズは今のじゅんこと同じサイズだった。
アールイがこの世界にやってきたのはこの悪魔を退治・捕獲することが目的だった。

サキュバス「うふふ…まさかこんな大きい女が二人居るとはね…準備運動にはいいかな…」
じゅんこ「なっ何!?」

じゅんこに向かって突然飛び掛ってきた女の魔物だがアールイが立ちふさがってじゅんこにはダメージはなかった…。
しかしアールイは腕を鋭い爪で切られ流血をしていた。

アールイ「だい…じょう…ぶ?」
じゅんこ「それは私の台詞よ…こんなに血を流して!?」

腕から流れる血が道路を染める…。
かろうじて手で振り払い飛んだサキュバスはビルを崩して着地した。

サキュバス「うふふ…よく見たらあなた、人間じゃないわね……魂を食べたら楽しめそうね…♪」

訳のわからない状態に放心状態のじゅんこを背に自分の武器を具現化させて対峙するアールイ。

アールイ「お姉ちゃん…あたしは大丈夫だがらここから離れて……」

後ろを振り向くアールイをサキュバスは突き飛ばした。

アールイ「きゃ!!」

アールイは斬られた腕をかばうようにして20階建てのデパートに背中から突っ込んだ。
当時避難は進んでいたもののまだ200人は中に人間が居たがそれもアールイの体と瓦礫によって押し潰された。
デパートが崩れる轟音と人間の悲鳴の中に「お姉ちゃん……逃げて……」というアールイの小さな声が聞こえた。

サキュパス「ふぅーん……この血の味…この女は龍か…面白い…」
アールイ「くぅ…っ!」

ペロペロと自分の腕についた血を舐めとり余裕の表情をしているときにそのサキュバスの頭に雑居ビルの塊が飛んできた。
突然のことで避けられない彼女は吹き飛んで高層ビルに体を沈めた。
じゅんこが投げつけたのだ。

じゅんこ「アールイ!!しっかりして!」

デパートの瓦礫からアールイを抱きかかえた。
アールイは粉塵のせいで白い肌は灰色に汚れ傷からも血がドクドクと流れ出ていた。
じゅんこは必死に叩いて埃を取ろうとしたがアールイは一刻も早く逃げて欲しいらしく
じゅんこに聞いていた。

アールイ「何で……逃げないの……?」
じゅんこ「私だけで逃げるわけにはいけないわ…」

遠くからビルが崩れる音がした…。サキュバスが起き上がったのだ。

じゅんこ「まってて…あいつは私が倒すから!」
アールイ「無茶…しないで…」

アールイの制止を聞かずじゅんこは近くにあったバスを掴んだ。
もちろんこのバスにも10名近くの小人が居たが目の前の悪魔を相手にそんなことは些細なことだった。

サキュパス「邪魔をするならあなたも食べさせてもらうわよ!」

じゅんこは接近してくるサキュパスにバスを投げつけた。
「ふん」と鼻で笑ったサキュパスは手でバスを払い飛ばした。
それだけでバスは粉々に砕けて手は側面のビルの一部を崩した。
じゅんこはその隙に巨大化を試みたが出来なかった。

サキュパス「無駄よ。人間の巨大化なんて簡単に封じれるのよ?」

勝ち誇った笑みを浮かべるサキュパスだが横からアールイがタックルを仕掛けた。

アールイ「えぇぇい!!」
サキュバス「!!」

隣に立ち並んでいた高層ビルを3棟崩しながらサキュパスは吹き飛んだ。
息も荒く未だに血が腕から流れているアールイは、とても強い意志を感じるも痛々しいものだった。

アールイ「今よ!お姉ちゃん逃げて!!あたしがこいつを食い止めるから!」
じゅんこ「でも、そんな腕じゃあ…」

視線を敵から背けずにアールイは言った。

アールイ「あたし……ママに言われたの…
大切な人が出来たら全力で護れって…。
お姉ちゃんが大切なものなのかは分からないけど…。
それでもあたしの本能は、お姉ちゃんを護れと言っているからその本能に従うだけ…っ!!」

突然じゅんこの後ろのビルが崩れサキュパスが現れがっちりと羽交い絞めした。

サキュバス「いい加減あなたたちの遊びには付き合いきれないわ…まずはこの女の魂からいただくわ!!」

アールイは舌打ちをして打つ手を考えているが手がない様子だった。

アールイ「それならあたしから食べなさい!あたしはアールイ=アルトノーム!
龍族の姫よ!文句はないはず!!」

それを聴きサキュバスも羽交い絞めを解きじゅんこを横に投げ飛ばした。
じゅんこの体が商業ビルに倒れこむと轟音と共に砕けてビルは瓦礫と化した。

サキュバス「うふふ…いいわよ、龍の姫というのは嘘じゃないみたいだし…
早速いただくわ…」

近づくサキュバスにアールイは手を前に出して条件をつきつけた。

アールイ「でもその代わり…あの人は食べないで…あたしを食べたらもう満足してここを去ることを約束して…」

サキュバス「いいわよ、私は約束は護るわ」

とうとう腕の切り傷を舐め始めた。
舐められたときの激痛に生気を吸われアールイは悲鳴を上げる。

アールイ「いたっ…くっな………おねえ…ちゃ……はや……」

既に声が出ないほど弱弱しくなり命も比例するように奪われていく……。
じゅんこは歯を食いしばっていた。
今まで彼女は小人相手に自身の強大さ、抵抗の無意味さを味あわせていた。
しかし今は自分が無力感に打ちひしがれている…。

アールイ「くっ………うぁぁぁぁ!!」

アールイは限界だったらしく膝を折るようにその場にへたれこむ。
無事だった信号をお尻で潰したが既にその感覚すらアールイは感じることも無い。
もう悲鳴を聞くのは耐え切れない…そう感じたじゅんこはサキュバスに体当たりを仕掛けた。

ドカッ!!ドシィィィィン。大きな振動と粉塵が舞い上がった。
アールイは拘束から開放されたがサキュバスのところにほふくで移動する。
サキュバスは高笑いをしてじゅんこの首を掴んだ。

サキュバス「あははは!!これで私はあなたたち二人を食べれるわね…正当防衛としてね…」
アールイ「そん……なの……約…束違反じゃな……い…」

アールイが弱弱しい声で反抗する。
しかしサキュパスはアールイの腹部に蹴りを入れ浮いたところに回し蹴りを受け吹っ飛ばした。
今度はアールイがいくつもの高層ビルを粉々にして倒れこんだ…。
アールイは視界がかすみ…血と生気を吸われ意識を保つことすら難しい状態になった…。
瓦礫の中で自分の護りたい者すら護れず涙を流すことしか出来ない…。
そのとき声が聞こえた。

???「アールイ…あなたはよくやったわ……後は任せて…」

じゅんこが転送されて次の瞬間には違う女性によってお姫様抱っこされていた。
紅いドレスに長い白い髪…金色の瞳をした女性だった。

アールイ「マ…マ……?」
アルトノーム「うふふ…それにしても派手に壊しているわね…死人も沢山出てるみたいだし……」

じゅんこを抱えたアルトノームはそっと駅の上に置いた。
電車も止まっていて人間も沢山避難をしようとしたがそれも等しくじゅんこの体重を支えられずあっさりと崩れ落ちた。
アールイはここで気を失った……。

サキュパス「あなたは…まさか!アルトノーム家の当主…最強の龍!?」

二つの剣を握り締め斜線上のビルやその残骸を踏み崩して一気に突撃したアルトノーム。
じゅんこもそしてみねうちされたサキュパスすら何が起きたか分からなかった。
彼女達にとっては突然ビルが吹き飛んだと思ったらサキュパスの後ろにアルトノームが居て刀と剣を鞘に納めている…そんな有様だった…。
突然やってきた激痛で意識を失いサキュパスは抱きつくように残ったビルを崩しながら倒れこんだ。
そのサキュパスの首根っこをアルトノームは掴み魔法を唱えた。
しゅくしゅくと小さくなっていくサキュパス…。
それをポケットにしまうと気絶しているアールイを抱き上げてじゅんこのところにきた。

アルトノーム「ごめんなさいね…こんなことに巻き込んでしまって…」
じゅんこ「いいんですよ、私もその子のこと本当の妹のように思えちゃったわ」

その答えを聞き嬉しそうにするアルトノーム。
その後にアルトノームはじゅんこの頭をつーんとつついた。
その直後じゅんこは意識を失った。
気がついたらじゅんこは1000mのサイズになって別の街を潰していた。
夢を見ていたのか…そう感じた。
翌朝その街へ行くと沢山の住宅を破壊して大きく抉れた一本の道が出来ていた。
これを見てじゅんこは昨日のことは夢じゃないんだなと…感じた。
そしてまたじゅんこは街を壊しに現れたが彼女は現れなかった…。

          ・
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じゅんことアールイが出会う数日前。
一人の龍がこの世界を飛んでいた。
白い翼、白い尻尾が風になびいていく。
彼女はミウ・アルトノーム。
アルーイの双子の姉であり龍族のリーダー、アルトノーム家のエリートである。

ミウ「確か…この世界であっているはずなんだけど……」

彼女はこの世界へ逃亡したサキュバス2体の捕獲・駆除を女王、つまりミウとアールイの母親であるアルトノームに命じられた。
サキュバスは龍たちのエネルギーを吸っており龍たちの平均身長60mで活動していることを前提だった。
そのため魔法も使え剣術も特技なミウが選抜された。
その頃地表では一人の少女が歩いていた。
同じ60mのサイズ。
ピンクの髪をなびかせミニスカートを見えそうなパンツを両手で隠し歩くこの少女の名はみーなと言う。
そーっと歩き出し周りの建造物を壊さぬように歩いている。

みーな「あわわ…ちょっと通りますね」

彼女はじゅんこの妹である。
しっかり者で人間のことを尊重し建物を壊さぬように歩く。
そのため街の住民はみーなが来ても道を譲るだけでそんなに恐怖は感じていない様子だった。
山道に差し掛かった。
この山を抜けるとじゅんこが居る街だ。
意気揚々と歩くみーな。今回じゅんこはみーなが訪問するとは思ってない。
俗に言う「抜き打ち訪問」である。
しかし数分後にみーなを待っていたのはじゅんこではなく……

サキュバス「あら〜♪ちょうどいい獲物発見♪」

黒い悪魔だった。
じゅんこは別の街で暴れていたがため居なかった。
山を降りようとしていたみーなは完全に不意をつかれ押し倒される。
ガッという掴む音がしたと思うとバキバキ…とみーなの背中で岩や木、ガードレールが砕かれる音がする。

みーな「なっ、なんですか!?」

問いかけるみーな。
しかし悪魔は答えない。
サキュバスの口からピンク色の吐息が吐き出される。
みーなは口を閉じても居るが鼻の穴からその吐息が吸い込まれていった・・・。
吐息が吸い込まれていく度にみーなの瞳から光が消えていく。

サキュバス「うふふ…これであなたは私の奴隷よ。
さぁ…街を壊し人を殺して私に最高の快楽をちょうだい♪」

むくりと立ち上がるみーな。
その瞳には完全に光が消え瞳孔が開いていた。
足元を一切見ずに一直線に街へ降りていった。
これまた多数の岩や木、道路を粉砕しながら…。
街に降り立ったみーなはそのまま住宅街へ歩き出す。
住民たちもいつもの光景だと思っていた。
みーなが街の入り口で絶望の宣告をするまでは。

みーな「うふふ…ちっぽけな人間たち、私の足で地面に沈めてあげるわ♪」

もちろんみーなが本意で言っているのではない。
サキュバスに体を操られているものの心までは操れず抵抗を続けていた。
そのためみーなの心を壊すためにみーながもっとも嫌がる行為を行うことで心を破壊し完全なる人形とするのが狙いだ。
そしてその行為とは…街の壊滅と人の蹂躙だった。

みーな(いやです!!そんなことしたくありません!!)
サキュバス「えぇ、だからするの♪
さぁ、聞かせて?あなたの心の悲鳴を♪」
みーな(いやぁぁぁぁ!!)

一方ミウは木を貪っていた。
一本一本むしってなどではなく生えている木にそのままかぶりついていた。

ミウ「この味は…ヒノキ!?
すごい…私の世界ではもう生えてないのに…
おいしい…」

本来の目的を見失ってはいないが食事は大事なため木や土、果ては民家すら食べる。
究極の雑食だ。
そのとき遠くで爆発音がしミウは食事を中止した。

ミウ「!!まさか…ターゲットが動き出した!?」

大きく翼を展開し飛翔した。
山を越え街が見えてきた。
ミウはその廃墟と化した街を見て唇をぎゅとかみ締めた。
住宅地が立ち並んでいた綺麗な町並みは巨大な足によって踏みにじられ様々なところから黒煙がもくもくとたちのぼる。
中央にはピンクの髪の巨人、その上空にはサキュバス。
ミウはこの構図で何が起きたのか瞬時に理解できた。

サキュバス「あははははっ!!いいね〜!!次はビル街を粉々にしてやってよ♪」
みーな「……(もう…やめてよ…壊したくないのに……)」

ズンズンと足音を立てまだ壊されていないビル街へ歩き出すみーな。
今の彼女はサキュバスによって破壊と殺戮をするためだけの人形となっている。
ミウは自身の武器であるレイピアを具現化しサキュバスに突撃する。

ミウ「もっと……もっと早く、私があいつを討てば……討っていれば……」

後悔と自分への情けなさで涙を流すも被害を最小限にすべく急加速して突撃するミウに気づいたサキュバスは爪を出し迎撃体制をとる。
サキュバスの爪とミウのレイピアが激しく激突し大きくしなっている。

ミウ「貴様は…貴様だけはここで討つ!」
サキュバス「せっかくの楽しみを邪魔しないでちょーだいな♪」

ガードしている爪とは反対側の爪でミウを切り裂くサキュバス。
あまりの痛みで滞空していたミウは空を飛ぶ力を失い墜落していく。

ガシャャャャンと音を立て高層ビルに激突して粉々にして墜落するミウ。
彼女の体ではビルはただの砂の塊のように崩れ去る。
そのときに感じた、家具や道具だけでなく人を潰す感触がミウの涙をより激しくする。

サキュバス「さぁ…私の人形さん、愚かな龍の娘をなぶり殺しなさい♪」
みーな「……(逃げて…お願い……みんな逃げて!)」

胸には切り裂かれた傷があるままミウはなんとかたちあがる。
本来ならここでみーなと同じ状態になるのだが彼女は龍の中でも最高峰の存在。
そのため洗脳こそかからなかったものの流れる血がスタミナや力を抜き取っていく。
かろうじて立ち上がったミウを容赦なく殴り倒すみーな。

ミウ「ぐっ!!」

吹き飛ぶミウの体に異変が起きた。
龍の翼と尻尾が光となって消えた。

サキュバス「あははっ!流血しすぎて龍の力が維持できなくなったのね♪
もう少しであんたの命は尽きる……そしたらあんたの力もいただくわ」

高笑いをするサキュバス。
その戦いを眺めながら捕まえた住人を手のひらにおいて指でつついて遊んでいる。
実際住人にとっては恐怖だ。
指はトラックと同等のサイズであり激突すれば痛い程度では済まないだろう。
必死に手のひらの上で人差し指をかわす住民達を眺めて喜ぶサキュバス。
一方のミウとみーなは一方的な状態だった。
殴られ続けて結界を張るわけでもなくミウは吹き飛んでいく。
反撃もせずサンドバックとして上空に打ち上げられた。

みーな(誰か…誰か私を止めて!!)

みーなの願いは敵わなかった。
飛んできたミウの足を掴み前方の高層ビルにたたきつけた。
ガシャァァァンと轟音と粉塵をあげビルは粉々になった。
ミウの背中が地面に衝突したことで周囲のアスファルトも粉々になった。
ミウの傷口が開いたのか血が辺りの瓦礫を赤く染める。
さらにみーなはその足を掴んだまま横のビル郡に投げ飛ばす。
再び彼女の体は別の高層ビルを複数吹き飛ばして道路に体を沈める。
そのときに彼女はみーなの心に触れた。

みーな(みんな……私のせいで……ごめんなさい!ごめんなさい!!)

みーなの心は生きていた。
しかし体はサキュバスに支配され自分の力で起きる破壊と殺戮を見せ付けられた。
彼女の足が多くの建物や人を踏み潰し人々の悲鳴が彼女の心を壊しかける。
今彼女を支えるのは「もうこれ以上、人を悲しませたくない」という一心だった。
彼女の目は瞳孔が開いていたが涙が流れている。

ミウ「…どうしてこんな悲劇が繰り返されるの……?
いや!まだ…悲劇は最小限に抑えられる…」

再びレイピアを手に取りみーなに対して構える。
それを見てサキュバスは笑い出した。

サキュバス「くっくっく……あっーはっはっは!!
人形を殺したところで私には痛くもかゆくも無いわよ♪」
ミウ「くっ…」

レイピアをみーなに向けながら動けないミウ。
サキュバスはみーなにミウをなぶり殺しにするように指示した。
ミウの顔面を殴りつけるみーな。
その衝撃で高層ビルがパラパラと崩れ始める。

みーな(お願い…もう殺して……沢山の建物を壊して………沢山の人を踏み潰しました。
せめて…あなたの手でこの悲劇を終わらせて……)

殴られ続けながらミウはみーなの心を感じ取っていた。

ミウ「甘えないで!!」

一瞬みーなの攻撃が止まる。

ミウ「あなたが自分のことを責めるのは勝手……。
あなたが死ぬのも勝手…」

みーなのパンチを始めてかわすミウ。
その腕を掴み見事なCQC(軍事用暗殺術)で背後に回り首絞めの体勢にいった。

ミウ「でもね……あなたを護りたいと思っている人も居ることを忘れないで…よっ!!」
みーな「…ぐっ!」

首を絞めみーなの意識を落とすミウ。
やりすぎると首の骨を折ることもあるため力加減をしっかりとして折らずにみーなを気絶させた。
膝をつき車や歩道橋を潰しながら倒れこむみーな。
外傷も与えずにみーなをサキュバスの支配から開放できる、ミウの苦肉の策だった。

ミウ「さて……と!」

胸の傷から血を流したまま翼と尻尾を具現化したミウ。
それを見てうろたえるサキュバス。
その時にグシャと手のひらの住民を残らず潰してしまったがもうそんなものを感じることもない。

サキュバス「ちょ!どういうことよ!!死に掛けじゃなかったの!?」
ミウ「……私が龍化を解いたのはあの子を救うための芝居…いつまでも龍のままならあなたはより洗脳を強めようとする……」

レイピアを構え突撃体勢を整えるミウ。
爪を出して応戦しようとしたサキュバスだが気づいたときにはミウは高速でサキュバスを貫いた。

ミウ「それならあの子を無力化してから本体を叩く…兵法の基本よ…」

血も出さずに光となって消えるサキュバス。
しかしサキュバスは笑っていた。
その理由は分かった…辺りを見渡すと無事な建物などなく生存者も皆無だった。
結果として破壊と殺戮を楽しむというサキュバスの目的が達成しこの戦いは終わりを告げた。
ミウはそれを見届けるとみーなの元へと舞い降りた。
気絶しているみーなを抱きしめるミウ。
脈もあるので復活は容易だろう。
豊満なみーなの胸がペチャンコのミウの胸に当たる
傷は龍の胸囲・・・もとい驚異的再生力で塞がっていたが血は乾いてなかったためみーなの服にしみついていた。

ミウ「どうして私だけ…胸小さいのかな……」

双子のアールイだって結構なサイズだ。
アルトノームももう一人の母もかなり大きい。
アルトノームが惑星サイズまで大きくなったときに大きいおっぱいで星を挟みぐしゃぐしゃに壊す様を見せられたときに自分の胸とアルトノームの胸を見比べていた。
アールイですら惑星サイズになったときの野球ボールサイズの惑星を挟めるほど大きかった。
それにひきかえミウは挟むことが出来ず胸に当たると同時に崩れてしまった。
その砕けた惑星を眺めて一人無言になっていた。
そのトラウマを思い出したミウの行動は早かった。

もみもみ…もみもみ…

みーなの豊満な胸を執拗にもみ続ける。
感触が自分の持っている胸と違うことでさらに嫉妬心に駆られるミウ。
ふとやわらかい胸の中で硬い感触がした。

みーな「ふぁ……」

意識が無いはずなのに喘ぐみーな。
ふと自分がかつてアルトノームの母乳を飲んで育ったことを思い出したミウは丁寧にみーなの服を脱がし……

パクッ!チューチュー!

みーなの乳首を吸い始める。
気絶していたみーなも流石に飛び起きた。
そして混乱。
必死に助けようとしていた少女が今自分の服を脱がせてひたすら胸を吸っている。

みーな「な、ななななななな何しているんですかっ!?」
ミウ「ん?んっんんん?(あ?気がついた?)」

上目づかいでみーなの顔を見つめるミウ。
アルトノームが言っていたことを実行していた。
「あなたたちは成長期だからママの母乳を吸っておおきくなりなさいな」
つまり胸の大きい子の母乳を飲めば大きくなれる・・・。
その考えの下でただひたすらにみーなの乳首を吸いまくるミウ。
みーなにとってはとんでもないことだ。
まだ出産はおろか結婚すらずっと先だというのだから母乳なぞ出るはずが無い。
だがミウは吸い続ける。おそらくもっと強く吸えば母乳が出ると思っているのだろう。
ミウは現在10歳、性や体の構造について興味はあっても知識はなかった。
それから数分、みーなが抵抗として周りの地面より数メートルは地面が陥没していた。
しかし一切気にも留めず吸い続けるミウ。
それを眺めていた一人の女性が居た。
黒衣に黒髪、狂気に染まったかのような赤い瞳の女性。まさに死神のような女性だった。

???「ずいぶんと派手にやったわね……」

怒りも悲しみも一切見せず無表情で二人を見下ろしている。
流石にミウも乳首を吸うことをやめ振り返る。
みーなはどこかで感じた言葉をそのまま口にした。

みーな「闇鈴・・・・・・さん?」
ミウ「闇鈴 マユラ様……闇鈴家の長女で死神の世界のトップよ…
次女の優華さんと三女の柚香里ちゃんも居るわ…」

みーなは納得した。
ミウの呼び方からからして階級というものを理解してないみーなでもどれだけマユラがえらい存在か理解できた。

ミウ「わざわざ私たちのサイズに合わせて登場なんて…どういうことですか?」
マユラ「ここで異常な数の死人が生産されていたのがおかしいと思って飛び込んできたの…
一部始終は見ていたわ…」

つまりさっきの嫉妬心からの出来事も見られていたのだ…。
赤面しているミウとみーなを見てクスクスと笑いながらもマユラは話を続けた。

マユラ「あまりにひどいからこの街の時間を巻き戻すわ…」
みーな「そんなことできるんですか!?」

マユラは死神としてだけでなく神としての能力もある。
そのため時間を巻き戻すことなど造作でもないことだった。
ミウはそれを知っていたがまさかここにやってくるとは思っていなかった。

ミウ「よかったね…これでこの街は元通りね…」
みーな「はい・・・でも・・・」

みーなは喜びの表情を浮かべながらもどこか暗い。
そう、踏み潰した感触、人々の恐怖に染まった顔、悲鳴…みーなから忘れたくても忘れられない心の傷となっている。
そんな傷を抱えたまま今まで通り住民と接することはできるのか?
みーなはそれを考えてしまった。
ミウはそれを察してみーなに抱きついた。
みーながミウに体を預ける。

ミウ「あなたが起きたらきっと・・・ここでの記憶はないはず・・・
本当は私のことを忘れてほしくはないけど・・・しょうがないよね・・」

ぐっと抱きついた腕を締め上げる。
同時に魔法を唱えみーなの記憶を操作する・・・。
サキュバスについて、ここでの破壊活動、そしてミウのこと・・・全てを消去するミウ。
不意に涙が流れるミウ。
それを眺めるマユラ。
かつてこんな惨劇があった。
今回のように悪魔たちが勢力を広げ破壊活動を続けていた。
アルトノームとマユラがコンビを組んでそれらを一掃してもう10年。
そんなことを思い出していたら巻き戻しが完了したのか街が元に戻った。
ミウの絶壁の胸に身を預けてみーなは気絶した。
数分後街はまるで何もなかったかの賑わいを見せている。
みーなは最初にいたであろう山の山頂に寝かせた。

マユラ「うふふ…ただの可愛い子だと思っていたが…しっかり皇女としても育っているようね……」

マユラはそういい残すと天空へ飛び去っていった。
ミウも眠りに付いたみーなを見下ろしながらこの世界から撤退した。
みーなは目を覚ますと辺りを見渡した。

みーな「確か…お姉ちゃんのところに抜き打ちで訪問しにいって…あれ?」

ふと自分の服の胸の部分が血に染まっていたことにびっくりしたが…。

みーな「なんだろう……この感じ…」

乾いていた血のあとをなぞり立ち上がる。
人であったら大惨事だっただろうがそうではないとなんとなく意識していたからだ。
そうしてみーなはじゅんこを探し回り見つけたときには夜になっていた…。


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マユラが世界の出入り口についたときに赤いドレスの女性がニヤニヤしながらマユラに後ろから抱きついた。

アルトノーム「お疲れ様♪」
マユラ「ひゃん♪」

胸を弄り回して喜ぶアルトノーム。
赤面しながらも言い返すマユラ。

アルトノーム「うふふ…この可愛い胸で何個の地球を砕いてきたのかしらね♪」
マユラ「なっ…!!龍の皇女様が自ら御挨拶とはね・・・それとも親ばかなだけかしら?」

それを聞きカチンときたアルトノーム。
彼女にとって親ばかというのはじゅんこにばばぁという行為と同定義である。

アルトノーム「……少しあなたとは話し合う必要がありそうね……。
時間はあるかしら?」
マユラ「えぇ…そうね…12はいけるほどの時間があるわね…」
アルトノーム「十分よ♪」

この会話の数字は今から巡る世界の数である。
大陸サイズの二人が12個の世界を破壊しながら巡るのだ。
二人はクスクスと笑いながらこの世界を後にした。

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